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【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」
第1部 平穏な日常(という名の地獄)と事件 1. 花畑の捕食者 国境沿いの街道に、季節外れの花畑が広がっていた。 陽光を浴びて咲き誇る黄色い野花。蝶が舞い、風が甘い香りを運ぶ、絵画のような春の光景。 そのど真ん中を、一本の「黒い線」が切り裂くように伸びていた。 黒い線の正体は、ひとりの少女の足跡だ。 彼女がブーツの底を地面につけるたび、鮮やかな花々は瞬時に茶色く枯れ果て、崩れ、ドロドロの黒い土へと還っていく。まるで死神が散歩をしているようだった。 「……はぁ」 少女――エルザは、深いため息をついた。 白磁のように滑らかな仮面の下で、彼女の眉間には深い皺が刻まれている。身に纏うのは、目が眩むほど純白の、金糸で刺繍された聖職者のローブ。手には肘まである長いシルクの手袋。 聖女。誰もが彼女をそう呼ぶ。だが、彼女が通り過ぎた後には、ペンペン草一本残らない。 「綺麗なお花。……一輪くらい、髪飾りにしたかったな」 エルザがそっと、道端の花に指先を伸ばす。 しかし、手袋の布地が花弁に触れるか触れないかの距離で、花はジュッという嫌な音を立てて
6 分前読了時間: 4分
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