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【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」8/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 第8部 戦いの終わりとそれぞれの未来 13. 雨と、残された手袋 気がつくと、ガラハドは瓦礫の上に大の字で倒れていた。 空からは、静かな雨が降っていた。 その雨は黒くも白くもなく、透明で、優しい匂いがした。 街の方々から、安堵の声が聞こえる。 肉塊となっていた人々は元の姿に戻り、不老不死の呪縛から解き放たれていた。 ある老人は、急速に老いさらばえ、しかし満足そうに息を引き取った。 「死ねる」ということが、これほど幸せなことだと、誰もが噛み締めていた。 「……ッ、ぐぅ……!」 ガラハドは起き上がろうとして、激痛に顔をしかめた。 脇腹から血が出ている。止まらない。 折れた骨が痛む。視界が霞む。 「痛い……。ああ、痛いな……」 彼は、震える手で自分の傷口を押さえた。 傷が塞がらない。 不死の呪いが、消えている。 エルザが、あの光と共に、世界中の「呪い」を全て連れて行ってしまったのだ。 「……酷い人だ」 ガラハドは苦笑し、そして足元に落ちているものを見つけた。.
2 日前読了時間: 3分


【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」7/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 腐蝕の聖女と死にたがりの騎士 第7部 反撃、そして最終決戦へ(後半) 11. 完璧なアイドル vs 誇り高きゴミ 大聖堂のバルコニー。 宙に浮く黒い茨の翼を広げたエルザと、輝く光を背負ったアリシアが対峙していた。 「なぜ……? なぜゴミが輝いているの!?」 アリシアが絶叫する。 彼女の完璧な顔が歪んでいた。彼女は「善」であり「美」そのものとして作られた。だからこそ、「汚れ」が自分より強く、美しく見えることが許せない。 「貴女は綺麗すぎるのよ、お姉様。だから何も救えない」 エルザが静かに告げる。 「生とは変化よ。食べて、出して、老いて、土に還る。……貴女の『永遠』は、ただの剥製(はくせい)と同じだわ」 「黙りなさい! 私は光! 人類の希望!」 アリシアが両手を突き出す。 『聖なる恒久(サンクタス・エターナル)』。 あらゆる物質の状態を固定し、変化を禁じる絶対の光。それが直撃すれば、エルザは「腐る」ことすら許されず、永遠にその場に固定される彫像と化す。 極光がエルザを飲
2 日前読了時間: 3分


【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」6/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 第6部 再起と新たな力の覚醒 9. 腐敗の女王、爆誕 どれくらい時間が経っただろうか。 抱擁を解いた時、エルザの中の何かが変わっていた。 「恥」が消えていた。 自分がゴミであることへの劣等感も、消えていた。 「……ガラハド」 「はい」 「私、決めたわ」 エルザが立ち上がる。 足元のヘドロが、彼女の意思に呼応してざわめき始めた。 「私はゴミ箱。アリシアの汚れを引き受けるための器。……それが私の運命なら、徹底的にやってやるわ」 エルザは両手を広げ、タルタロスの闇に向かって深呼吸をした。 「来なさい。この国が捨てた、全ての『ゴミ』たちよ」 ゴゴゴゴゴゴ……! 地下空間全体が震えた。 数百年分の廃棄物が、汚染された魔力が、黒い渦となってエルザの体に吸い込まれていく。 常人なら一滴で即死する猛毒の奔流。 だが、エルザの体はそれを拒絶しない。むしろ、乾いたスポンジが水を吸うように、貪欲に飲み干していく。 (もっと。もっと汚いものを。もっと痛いものを!) ヴィクターは言
2 日前読了時間: 4分


【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」5/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 腐蝕の聖女と死にたがりの騎士 第5部 底辺:暗闇の抱擁 8. ゴミ捨て場の恋人たち そこは、世界で一番汚い場所だった。 帝都の地下深くに広がる廃棄層「タルタロス」。 何百年分もの生活排水、工業廃液、そして失敗した魔法実験の成れ果てが堆積し、鼻が曲がるほどの腐臭が充満している。 そのヘドロの海に、ボロ布のように横たわる影があった。 エルザだ。 落下した衝撃で全身の骨が砕けているはずだが、痛みは遠かった。それ以上に、心が死んでいた。 「……あ、あ……」 彼女は動かない右手を見つめた。 皮膚が焼けただれ、黒い肉が露出している。 脳裏に焼き付いているのは、モニター越しに聞いた民衆の悲鳴。「化け物」「汚らわしい」。 (ああ、そうだ。私はゴミだもの。ここがお似合いよ) 涙さえ出ない。涙腺も腐ってしまったのかもしれない。 彼女は泥の中に顔を埋めた。このまま沈んで、誰にも見つからずに溶けてなくなりたい。 その時。 ズリ、ズリ、と何かを引きずる音が近づいてきた。...
2 日前読了時間: 4分


【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」4/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 腐蝕の聖女と死にたがりの騎士 第4部 中盤の試練と残酷な真実 6. 光の聖女、闇のゴミ箱 地下水道を抜け、エルザとガラハドはついに大聖堂の最深部「祈りの間」へと侵入した。 そこは、圧倒的な「白」の世界だった。 壁も床も天井も、すべてが発光する白い大理石。塵ひとつ、シミひとつない潔癖の空間。 「……息が詰まりそう」 エルザが呟く。 その空間の中央に、彼女はいた。 清廉の聖女、アリシア。 金色の髪、透き通るような肌、慈愛に満ちた横顔。 エルザと同じ顔立ちだが、決定的に違うのは、彼女が「完璧」であることだ。どこも腐っていない。どこも欠けていない。 「ようこそ、私の可愛い妹さん」 アリシアが振り返る。その声には、敵意どころか、愛おしさすら滲んでいた。 「待っていたわ。ずっと会いたかった」 「……妹? ふざけないで」 エルザは震える手で仮面を押さえた。目の前の「完璧」を見ているだけで、自分の皮膚が粟立つのが分かる。 「私は病気を治しに来ただけよ。古代遺物『無垢なる揺り籠
2 日前読了時間: 5分


【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」3/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 腐蝕の聖女と死にたがりの騎士 第3部 仲間(?)との出会いと敵の影 5. 地上の楽園、地下の墓場 帝都「ヘヴンズ・ゲート」。 そこは人類の夢が結晶化した都市だった。街全体が白亜のドームに覆われ、空調は常に春の陽気に保たれている。 行き交う人々は皆、若く、美しい。老婆も老人もいない。最新の医療魔術と、聖女アリシアの加護によって、この街の住人は「老い」と「病」を克服しつつあったからだ。 「……気持ち悪いわね」 エルザは白磁の仮面の下で吐き捨てた。 彼女たちは今、検問を突破し(ガラハドが「私は死体です」と言い張って強行突破した)、追われている為、帝都の最下層エリアに潜伏していた。 「そうですか? 皆さん幸せそうですよ。もっとも、私にとっては『死ねない』なんて地獄以外の何物でもありませんが」 ガラハドが露店で買ったリンゴを齧る。そのリンゴすら、防腐処理が完璧すぎて蝋細工の味がした。 二人が目指す大聖堂へ行くには、この煌びやかな地上エリアではなく、廃棄物処理場となっている「地下水
2 日前読了時間: 5分


【小説】エルザ 「腐蝕の聖女と死にたがりの騎士」2/8
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 第2部 力の覚醒と、偽りの希望 3. 悪魔からのホットライン その夜、宿の部屋でエルザは念入りに手を洗っていた。 水盆の水が、すぐに黒く濁る。どれだけ洗っても、手から漂う「腐敗臭」は消えない。香水を瓶ごと被っても、自分自身の鼻がこの臭いを捉えて離さないのだ。 「クソッ……! なんで落ちないのよ!」 ガシャン、と水盆を蹴り飛ばした時、荷物の中にあった通信具が鳴った。 不快な通知音。発信者は分かっている。 エルザの主治医であり、彼女を管理する「飼い主」。闇医者ヴィクターだ。 『やあ、僕の可愛いモルモットちゃん。ご機嫌いかがかな?』 通信具の向こうから、ねっとりとした男の声が響く。 「最悪よ。仮面の裏が蒸れてニキビができそう。……何の用? 今月の『抑制剤』なら、まだ残ってるわよ」 エルザは小瓶を見つめる。ヴィクターが作った薬。これを飲まないと、彼女の腐敗は全身に回り、彼女自身を土に還してしまう。エルザは生かされているのだ。 『つれないなぁ。今日は朗報があるんだ。君のその、触れ
2 日前読了時間: 5分
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