呪術廻戦の呪力とはそもそもなに?
- Ka T
- 2025年11月9日
- 読了時間: 4分
こんにちは!漫画ブロガーのオサムです。
前回は『呪術廻戦』の術式やキャラクターの元ネタを、手持ちの事典から深掘りしてみました。いやあ、知れば知るほど奥が深いですよね!
さて、多くの読者さんから「もっと知りたい!」という声をいただきました。ありがとうございます! そこで今回は、『呪術廻戦』のまさに根幹、「呪力」そのものについて、資料をひもときながら考察してみたいと思います。
『呪術廻戦』における「呪力」とは?
作中ではお馴染みですが、呪力は「人間の負の感情(憎悪、嫉妬、恐怖、後悔など)から生まれるエネルギー」であり、これが漏れ出すと「呪い(呪霊)」が発生します。呪術師たちは、この呪力をコントロールし、術式として使役するわけですね。
では、この「負の感情がエネルギーになる」という設定、現実世界の伝承や思想ではどのように考えられてきたのでしょうか? 『魔法辞典』をめくってみると、非常に興味深い概念がたくさん見つかりました。
1. 万物に宿る力「アニミズム」と「気」
まず、『魔法辞典』によれば、あらゆる魔術の基礎には「アニミズム」という考え方があります。これは「この世のあらゆる存在に霊魂が宿る」という思想です。 『呪術廻戦』で描かれる、曰く付きのモノに呪いが宿る「呪物」や、特定の場所に溜まった呪力から生まれる呪霊(土地神のようなもの)は、まさにアニミズムの世界観と直結しています。
そして、この「万物に宿るエネルギー」という点で、東洋思想の「気(き)」は非常に呪力に近い概念です。 『魔法辞典』によると、「気」は万物を構成する元素であり、同時にそれらを動かす神秘的な力とされています。古代中国の思想書『荘子』では、「人間は気の集まったものであり」と説かれています。 中国医学では、この「気の流れ」が滞ると病気になると考えられています。『呪術廻戦』で負の感情が呪力を生み出すように、現実の私たちもストレス(負の感情)で「気が滅入る」あるいは「病は気から」と言いますよね。負の感情がエネルギーの流れを乱し、実体(病気や呪い)を成すという発想は、まさに地続きなんです。
2. 人間の内なるエネルギー「シャクティ」と「タパス」
『呪術廻戦』の呪力が「人間から」生まれる点に注目すると、インド思想の概念が思い浮かびます。
シャクティ(性力) 『魔法辞典』には、「シャクティ」という項目があります。これはヒンドゥー教のシヴァ神の妃パールヴァティーと同一視される「性的な力」であり、生命エネルギーの源流です。この力は「クンダリニー」という蛇の形で人間の体内に眠っているとされています。呪力が人間の根源的な感情から湧き出るように、シャクティもまた人間の根源的な生命力・衝動と結びついています。
タパス(熱力) もう一つは「苦行(タパス)」です。苦行者は、断食や厳しい修行といった肉体的な負荷(ある種の負のエネルギー)によって、体内に「タパス(熱力)」と呼ばれるエネルギーを蓄積すると『魔法辞典』にあります。このタパスは絶大な力を持ち、神々すら焼くことができるとされました。 負の感情を溜め込むことで強大な呪力を得たり、あるいは「縛り」によって術式を強化したりする『呪術廻戦』の設定は、このタパスの考え方と非常に似ていると思いませんか?
3. 「呪い」は「信仰」から生まれた
そもそも、なぜ人間は「呪い」や「魔法」といった概念を生み出したのでしょうか? 『魔法辞典』の「魔法のはじまり」によれば、人類が恐ろしい自然や獣といった「手の届かないもの(神・精霊)」を認識すると同時に、「そのような手の届かないものに手を届かせる術」としての魔法が生まれたとあります。 つまり、「呪術」や「魔法」とは、人間の「恐怖」や「願い」(まさに負の感情も含まれます)の裏返しであり、それに対処するための技術だったのです。
また、19世紀の人類学者フレーザーは、「呪術こそが宗教に先行する」と考えました。人々が抱く恐怖や不安といった感情が、まず「呪術」を生み出し、それでは対処しきれない問題に対して「宗教」が生まれた、という説です。
『呪術廻戦』で、人間の負の感情が「呪力」となり、「呪霊」という具体的な脅威として現れる世界観は、我々人類が数千年にわたって培ってきた「目に見えない力への畏怖」そのものをエネルギー源にしていると言えるでしょう。
まとめ
『呪術廻戦』の「呪力」という設定は、単なるファンタジーの力ではなく、現実世界の「気」、「アニミズム」、「シャクティ」、「タパス」といった多様なエネルギー概念、そして「呪術」や「信仰」が生まれた人類の歴史そのものをベースにしていることがわかります。
私たちが「怖い」「憎い」「後悔している」と感じるその感情が、もし本当にエネルギーとして可視化されたら……? そう考えると、あの世界観がよりリアルに、そしてより恐ろしく感じられますね。
皆さんも、ぜひ『呪術廻戦』を読みながら、私たちの身近にある「呪力」の源流に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
オサムでした!
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